いとおかし*メキシコ死者の日の砂糖菓子*その1*金花糖の骸骨


いとおかし*メキシコ死者の日の砂糖菓子*その1*金花糖の骸骨」2010.11 より転載
© le studio  massako mizoguti 

金花糖ならではの半透明な肌を持つ Calavera de azucar 。またはCalavelita。
メキシコ「死者の日」Dia de los Muerutos の砂糖菓子の頭骸骨です。
その額に亡くなった家族などの名前を書いた紙を貼り、死者の日の祭壇に飾ります。
メキシコ「死者の日」は11月1、2日。
メキシコでは死者の日になるとそれぞれの家庭で祭壇をつくり、
「死者のパン」Pan de Muerto や砂糖菓子の骸骨の他、故人の好きだった食べ物や花、お香など供え、工夫をこらして飾ります。マヤの習俗が色濃い先祖を供養する大切な行事です。
死者の日が近づくと、お供物を買いそろえるためのの市が立ちます。
手づくりの祭壇や砂糖菓子のコンテストなどを行う町もあります。

夜はにぎにぎしく飾りたてたお墓へ出かけ、そこで飲食もして過ごします。マヤ時代には夏に行われていた習俗だそうです。
日本では「メキシコのお盆行事」という説明をされますが、確かに日本でもお墓をたくさんの供物で飾り、飲食をする習俗が残る地域も残っています。


不幸な事故でベッドから起き上がれなくなったメキシコの女流画家フリーダ・カーロが、自分の名前が書かれた砂糖骸骨を満足そうに持っている写真があります。彼女が自分の頭蓋骨を持っているかのようで印象に残りました。
本来は先祖や亡くなった家族の名前を砂糖骸骨のひたいに書いたものだそうです。

この砂糖菓子が金花糖と同じかどうかを、なんとか確かめたいと思っていたところ、テレビでこの砂糖菓子をつくるオアハカのお菓子屋さんの作業風景に出くわしました。
一瞬のことでしたが、金花糖と同じ製法であることを確認できました。
型はテラコッタ製でした。
そこで、この砂糖菓子についてフィールドワークもし、販売もしているアメリカ人のサイトにコンタクトし購入。とうとう骸骨をまじかに見ることができ、その技術は高いと感じました。

マリア様を表す薔薇の紙花はメキシコのおばちゃんたちのお手製。
骸骨は中を空洞にする金花糖製法にぴったりのモチーフであるともいえます。
とはいえ、メキシコでも、最近はチョコレートの骸骨が人気なようです。
ヨーロッパでも、砂糖人形がチョコレート人形にとって代わった形跡がみうけられます。
中空のチョコレート人形などの製法は、先行の金花糖の型と製法を応用しているのではないかと思っています。
実は日本でも、金花糖の木型に漆を塗って、チョコレート型にしている実例があるのです。

南蛮菓子が伝わった時代、この諸聖人の日「トドス・ロス・サントス」は「とーどのさんた」などと呼ばれました。伊達政宗が企てていたという、ヌエバ・エスパーニャ(新スペイン=メキシコ)との交易が実現していたら、仙台あたりにメキシコ経由の金花糖が定着していたかもしれません。

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