いとおかし*金花糖のお雛菓子
「いとおかし*金花糖のお雛菓子」2001.5 より修正転載 © le studio massako mizoguti
今では珍しくなってしまった江戸金花糖。
砂糖を煮詰めて、木型に流してつくります。
ポイントは砂糖を型に流す前に攪拌すること。
この「摺り」によって空気を取りいれ、半透明のきれいな金花糖ができあがります。
有平糖との違いはこの「摺り」にあるように思います。
空気を含んでいるので、できたては歯脆くもあるのです。
薄く仕上げてあり、まさに職人技ですが、光にかざすとすりガラスのように光を通してきれいです。
この「お雛様」も10年以上経ってマットな白になっています。
東京周辺ではお雛様の時期になると、金花糖が売られていましたので、お雛様に供えるお菓子として続いていたのだと思いますが、お雛様そのものが金花糖というのは他では見たことがありません。
江戸の金花糖は『守貞謾稿』(1853年頃)によれば、京よりくだったものとされています。とはいえ『守貞謾稿』の記述は、少なくとも製法については疑問の残るものです。
金花糖のはじまりは不明ですし、生姜糖、板(状)金花(糖)、
さらには有平糖、カルメラ(カルメ焼きと違い白砂糖の他に卵白を使う)との関係も気になるところです。
カルメラについては「加賀銘菓の越野」のサイトの「金花糖の歩み」で、作り方を紹介されています。越野さんは金花糖の発生についても、製造者の立場から大変興味深い考察をされています。
2003年にも鎌倉小町通りのお菓子屋さんでみつけた金花糖ですが、
東京で最後の一軒という錦糸町の職人さんの作でした。
しかしその後まもなく、その職人さんはおやめになったようです。技術的には高かったようにお見受けしたので、とても残念です。
おやめになる前年の雛祭りに求めた犬張子 |
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